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丸沼芸術の森は設立25周年を迎えます。若いアーティストへの支援として、アトリエの提供から始まり、その制作活動の励みとして、美術作品の蒐集も行って参りました。中でも佐藤忠良氏の作品はおよそ100点を所蔵し、当コレクションの中核をなすものです。
佐藤氏(1912年生まれ)は東京都内のアトリエで、90歳代半ばを過ぎた今日も精力的に制作に取り組む、日本を代表する彫刻家です。宮城県に生まれ、北海道に育った氏は、画家を目指して上京します。しかし、美術研究所に通っていた頃、ロダンやマイヨール、ブールデルらの彫刻作品に感銘を受け、彫刻の道を選びます。東京美術学校(現東京芸術大学)卒業後は舟越保武氏や柳原義達氏らと共に新しい彫刻を求めて活動を始めます。しかし、日本が戦争に向かう中、氏も召集を受け、満州で終戦を迎えます。そして3年間ものシベリヤ抑留を経て、再び彫刻に向かい合います。過酷な体験を経て、人間の存在への深い眼差しを持ったその作品は、近しい人々をモデルに、自身を投影する重厚な像となり、「日本人による日本的日本人の最初の表現」と評されます。また、絵本「おおきなかぶ」の作者としても知られる佐藤氏は、身近な子ども達をモデルに愛情あふれる造形も多く制作し、作家仲間からは「小児科」と呼ばれるほどでした。さらには、1960年代後半からは、コスチュームをまとった女性像への取り組みを始めます。中でも「帽子シリーズ」と呼称される一連の若々しく健康的な、さっそうとした女性像は氏の代表作となりました。
佐藤氏の作品は国内各地の美術館や公共空間に展示され、1981年にはパリのロダン美術館で、日本人として初めての個展を開催するなど、国際的にも高い評価を受けています。さらに1990年には、宮城県美術館に佐藤忠良館が開設されています。
本展は所蔵作品より約30点のブロンズ・平面作品を<裸婦><子ども><自然>のゆるやかなカテゴリで展示いたします。ささやかな展覧会ですが、秀逸な作品群を身近にご覧いただけます。
会場 | 丸沼芸術の森展示室 |
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会期 | 2008年10月18日(土)~31日(金) ※会期中無休 |
時間 | 10:00~17:00(入場は16:30まで) |
料金 | 500円(高校生以下、六五歳以上、美大生は無料) |
関連企画
記念講演会
- 「彫刻家・佐藤忠良氏とその作品のあゆみ」
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日時:10月18日(土)14:00~15:30
講師:三上満良氏(宮城県美術館 学芸員)
参加費:無料(別途入場料が必要です)
定員:先着60名
※要事前申込:往復葉書に住所、氏名、電話番号を明記の上、下記までご送付ください。
送付先:丸沼芸術の森 佐藤忠良展 講演会係
〒351-0001 埼玉県朝霞市上内間木493-1
ギャラリートーク
- 「飾らない人 佐藤忠良さん」
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日時:10月25日(土)14:00~15:00
講師:舟橋紘一氏(舟橋ギャラリー 代表取締役)
参加費:無料(別途入場料が必要です)、事前申込不要